sightseeing

観光客が増えた地方、活性化しないのはなぜ…?SNS映えスポットに迫る!

「SNS映え」する地方たち

引用:講談社/貞包 英之「SNS映え」で観光客も増えた地方が、活性化しないのはなぜ…?2018/04/20

最近の地方は少し行けば小洒落たレストランやカフェ、リノベーションを受けたパン屋や本屋が大抵みつかり、図書館、体育館、児童遊技場などの快適な公共施設も立ち並んでいます。

そのバックにありあまる自然を置けば、「いいね」を集める投稿がつくれるという意味で、地方は潜在的に「SNS映え」する場所へと変貌していっているのです。

ただし問題は、再整備やリノベーションによって、地方に「快適」な空間が増えているにもかかわらず、それが一向に「活性化」に結びついていないことです。

たしかに部分的には、観光客を増やした地域もみつかります。しかし経済や雇用、また人口減少などが地方で回復しているというはっきりとした証拠はありません。

逆に地方部への転入人口は減少を続け、相対的に安定している大都市への転入と今ではほぼ同じになってしまっています。

『ソトコト』と地方のブーム

こうして、SNS上で反響を受けながら、それが活性化に結びついていないという厳しい地方の現実が浮かび上がります。

なぜこうした事態が起こっているか。それを理解するためには、今の地方ブームがいかなるかたちで成立しているのかを考えてみると良い。

現在の地方への関心の高まりは、2010年代の前半からなかばにかけ醸成されました。

2011年の東日本大震災、藻谷浩介らの『里山資本主義』(2013年)や増田寛也らの『地方消滅』(2014年)の出版、さらに2014年に発足した第二次安倍内閣発足で国是とされた「地方創生」を機に、一気に地方への注目が膨らんだのです。

その流れに乗るとともに、そもそも一つの源流となったのが、雑誌『ソトコト』(公称発行部数は10万部)。東日本大震災直後に編集長に就任した指出一正の指揮のもと、『ソトコト』は地方の自然やコミュニティをしばしば取り上げ始めました。

「田舎暮らし」が、定年退職を迎えつつある中高年層をメインターゲットに据えていたのに対し、現在の地方暮らしはおもに若年層に働きかけるものに。『ソトコト』の主要読者は、「20代、30代」(指出一正『ぼくらは地方で幸せを見つける』)といわれています。

そうした若者に訴求するために、現在の地方暮らしが最先端の「かっこいい」ものとしてしばしば強調されているのです。

地方は、都会に疲れた中高年の逃避や癒しの場以上に、社会的なつながりが豊かで、都会にはないコミュニティがある場と称賛されています。だからこそ地方にいち早く赴き、あわよくばチャンスを掴むことが若者に勧められるのです。

雑誌『ソトコト』が、その典型です。

『ソトコト』とは

『ソトコト』は、2000年代前半には「スロー」――2001年5月の特集「イタリア、小さな村々のスローフード」、2003年1月の「スローライフ大国、ポルトガル」に示されるように――、2000年代後半には「ロハス」――2006年5月の特集「ロハス大国 アメリカの歩き方」に示されるように――をキーワードとして流行させ、それに似合う(とくに海外の)グッズや食、住居や旅を紹介する広告的カタログ雑誌として成長しました。

しかし2013年2月の「日本の地方に住んでみる」特集を皮切りに、日本の「地方」や「地域」が頻繁に取り上げられ始めました。

「ソーシャル」化する地方

「地方活性化」の困難は、地方への移動が活発化せず、大都市と地方の断絶が大きくなることに尽きるのではないでしょうか。

それが人口減少を推し進め、地域の人間関係の閉塞をきつくする。

ではなぜ移住が進まないのか。それは端的にいえば私たちの暮らしの自由度が低いためというしかありません。

たとえば大都市に留まる理由として、地方に「安定した仕事」がないことがしばしば挙げられます。それは事実、しかしこのことはむしろ正規の職を求め競争しなければ生きられないこの社会の問題を浮き彫りにします。

働き方の改革についての議論もたしかに進んでいますが、それがうまくいってなお、正規職と非正規職との間には社会保障や退職金などの厚い壁は残る。

また居住のシステムにも問題があります。

長期の住宅ローン契約のせいで転職等のリスクを取ることをむずかしくしているのです。

加えて教育システムの問題も。単位ごとに学校を選ぶのではなく、一つの学校に初めから最後まで通うことを前提とした日本の教育システムでは、転校は容易ではありません。それが子育て世代の移動をかなり困難にしています。

まとめるならば、地方と大都市の対立の根幹には、定住を強く求める日本社会のシステムが立ち塞がっているのです。

SNSブームになっているからこそできること

だがやがてブームは去り「冬が来る」前に、たんにソーシャルにではなく、自分たちの状況に向き合い、より自由で、多様で、余裕のある、それゆえ地域に制約されない生活を築くことはできないでしょうか。

たしかにそれが実現しても、すぐに大量の移動が起こり、地方人口が回復するわけではりません。ただし「移動」が自由になれば、それだけ都会と地方を対立させ問題化する理由もなくなります。

地方にいるか大都市にいるかは、あくまで一時的なライフスタイルの選択になるからであり、そうして初めて「地方消滅」という問題そのものを「消滅」させることができるはず。

むしろ重要になるのは、地方に注目が集まっているうちに何かを変え、何かを残していくことなのではないでしょうか。

【無料】LINE@でSNS運用ノウハウを公開中

SNS運用の体系的な知識や、トレンド、流行りのインフルエンサーに関する情報を0円でご提供します。
企業のSNS運用に役立つ情報をGETしたい方はLINE@にご登録ください。

友だち追加